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税務相談 事例集 相続・贈与税 > 親の所有する不動産を子供に渡す有利な方法について

親の所有する不動産を子供に渡す有利な方法について

Question
親名義の家と土地を子供の名義にするには、相続税と売買ではどちらが得しますか??

Answer
不動産の金額、財産の多寡がわかりませんのでお答えしづらい内容ですが、一般的な部分を体系的に説明しておきます。

1.土地建物を売却した場合の税金
土地建物を売却した場合の税金は、当該土地建物の保有期間によって異なりますが、本件の場合には、ある程度長期間保有しているものと推測されますので、長期間(その年の1月1日における保有期間が5年以上)保有していることを前提に回答いたします。
土地建物を売却した場合の税金=当該土地建物の売却益に対して20%(所得税15%、住民税5%)

2.土地建物を贈与した場合の税金
(1)相続時精算課税制度を利用した場合
 相続時精算課税制度とは、65歳以上の親から20歳以上の推定相続人に対して贈与をした場合、贈与税の申告をすることを要件に2,500万円までの贈与に対し、贈与税を課さないものです。また、当該金額を超えた贈与が行われた場合には、20%の税率により贈与税が課されます。
(注)この制度による贈与を行った場合には、相続発生時に相続税の申告が必要となります。また、この制度で贈与した財産は、相続税の申告時に(贈与した時点の価額で)相続財産として計算されることに留意してください。

(2)相続時精算課税制度を利用しなかった場合
年間110万円の基礎控除額を超えた部分に対し、贈与税の税率により贈与税が課されます(一番高いと考えられます)。
(贈与税の速算表)
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超 50% 225万円

3.土地建物を相続した場合の税金
土地建物を相続した場合には、以下の計算したがって相続税が課されます。

相続財産-相続税の基礎控除額(1,000万円×法定相続人の数+5,000万円)-小規模宅地の評価減(注1)=課税遺産総額
課税遺産総額×各人の法定相続分(注2)×税率(注3)=各人の相続税
各人の相続税の合計額×財産を取得した割合=各人が納付すべき相続税

(注1)小規模宅地の評価減
居住用宅地は200㎡まで、事業用宅地は330㎡までの土地について評価額の50%又は80%を評価減します。
したがって評価額が1億円であれば、5,000万円又は8,000万円評価減し、評価額は5,000万円ないし2,000万円となります。

(注2)各人の法定相続分
相続税額の計算は、各人が法定相続分どおりに財産を取得した場合にいくら税額が掛かるかによって税額を計算し、法定相続人全員について計算した結果を合計したものを相続税とします。
したがって、課税遺産総額に対し、法定相続分を乗じたものに税率を適用します。
この法定相続分は配偶者と子は1/2づつ、子がいない場合には配偶者と親で2/3、1/3、兄弟の場合には3/4、1/4と決められています。配偶者がいない場合には子、親、兄弟の順番に100%取得します。

(注3)相続税の税率
  課税標準     税率    控除額
1,000万円以下   10%     -
3,000万円以下   15%    50万円
5,000万円以下   20%    200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円

投稿者: 税務相談 事例集 日時: 2006年11月24日 09:48