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個人的に保有していた資産を個人事業に共用した場合の減価償却

Question
今年から、個人事業主になった者です。
税金対策の目的から副業を始めたのですが、その際いっそのこと事業者として登録したほうが費用計上等の関係で都合がいいとの事で個人事業主になりました。
その事業の中で、私はパソコンを使っています。5年前に購入したものですが今まで一度も減価償却をしていません。購入価格はプリンターとセットで28万ということでしたが、実際はお店のご好意であり本当のところはプリンター無しで28万くらいが正規の価格だそうです。
この場合、減価償却はどのくらいの額が計上できますか?入っているのはウィンドウズMEで、特にバージョンアップやグレードアップは施しておりません。プリンターに関しては故障してしまい、今は廃棄しておりありません。
一般的な計算でよろしいですので、簡単なお見積もりを宜しくお願いいたします。


〔回答〕
1.転用時の簿価(未償却残高)は、取得価格から減価の額を引いた金額となります。
減価の額(既に償却費として必要経費に算入されたものとされる金額)=(取得価格-残存価格10%)×1.5倍の耐用年数(1年未満切捨て)の定額法償却率×家事用に使用した年数(6ヶ月以上切上げ・6ヶ月未満切捨て)
2.償却費の計算は定額法と定率法の区分に応じ、以下のように計算します。償却は取得価額の5%までしか出来ませんので、注意をしてください。
定額法:(取得価格-残存価格)× 定額法償却率 × 事業供用月数÷12
定率法:(取得価格-減価の額)× 定率法償却率 × 事業供用月数÷12

例えば、平成16年4月に180万円で乗用車(耐用年数6年)を購入し、家庭用として使っていたものを、平成18年4月に個人事業を開業するに当たって、事業用に使用し始めた場合は、
①転用時の簿価=1,800,000-{(1,800,000-180,000)×0.111(9年定額法償却率)×2}=1,440,360
②償却費の計算
  定額法の場合 (1,800,000-180,000)×0.166×9/12=201,690
  定率法の場合 1,440,360×0.319×9/12=344,606

なお、必要経費に算入できる額は、上記償却費の額に事業専用割合(事業用として使用している割合)を掛けた額になります。

(参考)
第135条 非事業用資産を業務の用に供した場合の償却費の計算の特例
居住者がその有する家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産で不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供していないものを当該業務の用に供した場合(次条の規定に該当する場合を除く。)には、当該業務の用に供した後における当該資産の償却費の額は、当該業務の用に供した日に当該資産の譲渡があつたものとみなして法 第38条 第2項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定を適用した場合に当該資産の取得費とされる金額に相当する金額を同日における当該資産の償却後の価額として計算するものとし、当該資産の第126条(減価償却資産の取得価額)及び第127条(資本的支出があつた場合の減価償却資産の取得価額の特例)の規定に準じて計算した取得価額と当該償却後の価額との差額に相当する金額は、前条の規定の適用については、当該資産の償却費としてその者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入された金額とみなすものとする。

投稿者: 税務相談 事例集 日時: 2006年08月10日 09:50