税務相談事例集
当サイト"税務相談事例集"は、
会計・税務・節税に関するご相談やよくある事例について解説しています。
税務相談 事例集 法人税 > 役員報酬を減額して利益を調整する方策の是非

役員報酬を減額して利益を調整する方策の是非

Question
当社では、法人税の支払いを極力少なくするために、毎年給料を多めに設定しておき、売上や利益の動向が見えた段階で給料を減額する方向で利益金額を調整しています。
このような利益調整の方策は正しい方策なのでしょうか?お教えください。

Answer
役員報酬を減額して利益を調整している場合、大前提となるのがバックデートで報酬は変えられないという事実です。源泉所得税の納期の特例(源泉税を毎月10日に納付するのではなく、1月~6月の分を7月10日、7月~12月の分を1月10日ないし20日に納付する制度)を利用している場合、源泉税の支払いには猶予がありますが、その間も毎月の給料の金額は支払っています。この毎月の役員報酬を遡って改定を行うことは出来ません。
結果、この方策による利益調整を行う場合、利益の見通しを厳密に計算する必要があります。
また、この方策を採用する際に特に留意しなければならないのは、万が一、役員報酬を遡って変更した場合の影響です。
既に確定している役員報酬を放棄する場合、一度は役員報酬の支払いが確定しています。そこで税務では原則として役員報酬を支払った後に本人が手にする筈の手取額の放棄を受けたものとして考えることになります。結果、源泉所得税の納税義務が発生してしまうことにご留意ください。
また、銀行などの利害関係者から考えると、役員報酬の支払いも満足に行えない会社にお金を貸せるのか?という見方も出てきます。
従って、役員報酬で利益を調整することは難しく、役員報酬額を期中で減少させることに関し、周囲への説明も困難なので、あまりお勧めしない方策であると考えます。

投稿者: 税務相談 事例集 日時: 2006年11月15日 10:47