税務相談事例集
当サイト"税務相談事例集"は、
会計・税務・節税に関するご相談やよくある事例について解説しています。
税務相談 事例集 法人税 > Webを通じた海外取引に日本国内にて課税が行われるか?

Webを通じた海外取引に日本国内にて課税が行われるか?

Question
現在アメリカに住んでいます。
アメリカで小売店(米国法人:2000年設立)を経営し、商品を日本のウエブサイトやオークションサイトでも販売しています。2007年の日本への売上額は約90万ドルでした。
業務としては、お客様から注文が来ると、代金を私個人の日本の銀行口座等に振り込んでもらい、商品はアメリカから直接お客様にお届けしています。
輸入関税/消費税は米国法人が負担し内税方式で商品を送る度に税関に支払っています(輸入者はお客様となります)。
取引量も増えてきたので、一昨年前2006年に日本国内に販売会社(日本国内法人)を設立し、日本国内法人の社名を使って販売とカスタマーサービス等を始めました。
日本国内法人(登記住所は実家)には私の母がいるだけで、電話番と不良返品受け取りと売り上げ回収金の米国法人への送金のみを行ってもらっています。
販売時顧客には日本国内法人の社名を使用していますが、実際の注文はインターネットで米国法人が直接受け、入金確認や商品の仕入れ、在庫、発送の作業等のほぼ全てを米国内で行っております。
日本国内法人は仕入れ等をせずにカ スタマーサービス等の業務を行い、米国法人から毎月の業務委託料を受け取っています。
質問ですがこの場合、税務署は移転価格税制等を根拠に、輸入関税/消費税を既に支払っていても、日本国内法人に商品の売上額や利益に対して法人税や消費税を課税してくる可能性はあるでしょうか。
また、もし日本国内法人組織でなく私個人の名前で販売していた場合は、税務署はどのような理由で課税してくる可能性がありますでしょうか。宜しくお願い致します。

Answer

1.日本の国内法人に課税が及ぶかについて
現在の販売形態では、日本法人が売却をしますと顧客に対して表示しています。海外から商品を送 付しても、請求書や納品書等も日本の国内法人の名称となっていることと存じます。この場合、税務上では、日本の国内法人が海外の関係法人から一旦商品を仕入れ、当該商品を顧客に対して売却をするが、商品の発送は海外の法人に直送するように委託していることとなります。従って国内法人では、海外から商品を仕入れ、国内の事業者に売却をしているという処理を行わなければなりません。

(課税上の問題点)
以上の状況から勘案すると、以下の諸点が課税上の問題点として考えられます。
(1)手数料として国内法人に落としている金額以上に利益を国内に落とさなければならないとの認定を受ける可能性が存在します。
(2)取引はあくまで国内法人が一旦仕入れ、売上を計上するものとなりますので、消費税の処理等で国内法人が簡易課税などを選択していると納税額が大きく、大きな問題となる可能性があります。
(3)国内の法人は、売買という法律行為の当事者となっていますので、当該法人の事業活動を否認した場合(全くやっていないと言い張る場合)には、海外法人そのものが国内に(売買と言う法律行為を締結する)恒久的施設を有して事業活動を営んでいると認定され、所得の一部を日本にて申告しなければならないとの認定を受ける可能性も存在します。

2.組織形態を変更した場合にはどうかという点について
間に入っている者の組織形態には依存しませんので対策にはなりえません。

考えうる方策は、海外の業者に直接発注をするが、日本国内にクレーム処理センターが存在する等、課税上の処理をしたい方向に取引内容を引きなおすことが出来れば、問題はなくなるものと思われます。

投稿者: 税務相談 事例集 日時: 2008年05月26日 15:10