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底地の売買をする価格(時価)について

Question
学校法人Aは校地、校舎を所有している。これの金額は、校地が路線価1億3000万円、公示価格1億7,000万円(近隣を元に算出)、校舎は簿価1000万円となる。
この学校法人Aは、生徒数が少なく、校舎が老朽化しているため、行政側から指導を受け、協議の上、学校廃止、法人解散することになった。学校法人Aの経営人は、生活基盤であるこの土地、建物を解散後も使用して、営利法人(株式会社)として何としても学校等を続けていきたいと考えた。(営利法人なら自由な裁量で運営ができるため)
しかし、私立学校法上、学校法人が解散した場合、その残余財産は他の学校法人等に寄附をしなければならないことになっている。これはまずいと思い、そこで、学校法人Aの経営人は以下のことを考えた。

まず、校舎については、学校法人Aの理事長が代表取締役を務める株式会社Bが、簿価である1000万円で購入する。そして、地代65万円(路線価を元に算出)を月々、学校法人Aに支払うという契約を交わす。これにより借地権を設定する。
その後、学校法人Aは清算決了。残余財産である学校法人Aの底地部分については、他の学校法人Bに寄附する。
底地部分を寄附後、学校法人Bと交渉の上、学校法人Aの元理事長個人が3900万円でその底地部分を買い戻すことになった。
上記やりとりで行政上や法務上は問題ないものとして、税務上はどのような点に気をつければよいでしょうか。

Answer
以上の質問は、路線価に対して年6%の地代を設定し、その後、路線価に対して底地権割合30%を乗じた3900万円で買い戻すことに税務上の問題は無いか?という質問と理解をして回答をします。
税務上の取引は、時価で行わなければならず、買い戻す際に1億3,000万円×30%=3,900万円が時価かどうかが最大の争点であると思われます。
ところが、取引を行う対象は底地であり、通常の底地権取引では、時価に対して5%~20%位が相場と考えられることから、これを1億7,000万円を基準として計算をしても低額で譲り受けるという懸念は無いものと考えられます。

ただし、全体の取引の流れが当初より計画されていたものであるとすると、学校法人に対して支払った地代及び買取価格である3,900万円は当該学校法人に対する寄付金であると認定される可能性も存在します。上記の問題よりは、むしろこちらの方が言われた場合に実害が大きいように思えます。
あくまで土地の取引であること、一連の取引と認定されないことを念頭に置いたほうが良いと思われます。

投稿者: 税務相談 事例集 日時: 2008年05月28日 11:09